天皇賞・春
・レースの概要
天皇賞・春は京都競馬場で行われる長距離戦。しかし今年は京都競馬場改修工事のため阪神競馬場芝3200mで行われる。
数少ない長距離重賞であり、またそのマイナーさから大穴馬券も生まれやすくなっているため楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。マイナー条件のレースの特徴といえばリピーター。実際に近年でも
キタサンブラック 2016年、2017年優勝
フェノーメノ 2013年、2014年優勝
フィエールマン 2019年、2020年優勝
と連覇が連発している。このレースになにより直結するレースが天皇賞・春なのです。
また3000m以上を走ったことがないという馬も例年多数出走しており、馬券にもなっています。これが万馬券の立役者になっているのでしょう。
2016年 三連単24万2730円
2015年 三連単23万6300円
2014年 三連単21万1180円
2013年 三連単11万1830円
2012年 三連単145万2520円
2011年 三連単18万9840円
2010年 三連単91万1660円
とここ10年で7回も三連単の配当が10万越え。ただ近3年はそこまで高配当が出ておらず、これをどう判断するのかは議論の余地があります。
また一方で1から3番人気が揃って飛ぶということはまずなく、少なくとも一頭は馬券になっています。
と色々話しましたがこのデータは全て京都競馬場で行われた場合の話ですから、一旦横に置いておきまして参考程度にするようにしましょう。今年は阪神開催です。
・臨戦過程
臨戦過程は僕の大事にしていることの一つ目である「成長度」に直接関わってくるファクターです。古馬の戦いであるため各馬成長度が3歳戦などに比べてバラバラであり、より注意が必要です。
前走は阪神大賞典組や日経賞組、ダイヤモンドS組などが主流であり、その他AJCCや大阪杯などからの参戦という馬も過去に優勝している。ここから、前走が何であるかはそこまで大きく関わっていないように感じます。というのもほぼ全馬が距離延長で臨むことになり、偏りが生まれにくいからです。
とはいえ前年の菊花賞で好走した馬に関してはよく馬券になっています。4歳の成長力とステイヤー適性の影響でしょう。
また先ほど述べたように一度天皇賞春を経験しているかというのも大事です。しかしこれは必ずしも好走経験とは限らず、一度目は凡走に終わったとしてもその経験を二度目に生かして好走するようなパターンもあります。
また例年とは異なり阪神競馬場で行われることから、今年に関してだけいえば阪神大賞典組を重視するのが妥当だと考えられます。ただ今年の阪神大賞典は重馬場での開催であり、その結果を鵜呑みにするのは危険でしょう。展開的には重馬場ながらペースが落ちなかったため前が崩れ、差し馬に有利な展開となっていました。
最後に最も大事なのは2000m未満のレース経験である。これは速いペースで追走できるかということに関わっており、長距離しか経験したことがない馬にとってこのG1長距離というのは比較的ペースが速く感じるはずである。なので2000m未満のレース経験は必須と言える。
・買いの血統
以下京都競馬場で開催された時の傾向からの考察です。
まず父はサンデー系が圧倒的によく走ります。
昨年は1着のフィエールマン、2着のグローリーヴェイズともに父ディープインパクトであったが、それ以前を見てみるとステイゴールドやハーツクライなどスタミナよりのサンデー系の方がよく走っている。
牝系は特に母父に大きな傾向があり、ミスプロ系やボールドルーラー系、ノーザンダンサー系の中でも米国型の血やリファールの血を持つ馬がよく走っており、米国的な速さを強く持っていることが重要だと思われる。牝系から補うべきはスタミナよりパワー、スピードであるということである。
この二点に当てはまる馬は数多く穴を開けており、
・カレンミロティック(2015年10番人気3着、2016年13番人気2着)
・ホッコーブレーヴ(2014年12番人気3着)
父マーベラスサンデー母父ダンシングブレーヴ(その父リファール)
・メイショウドンタク(2010年16番人気3着)
などここ15年で単勝10番人気以下の馬が3頭馬券になっている。一方一番人気で凡走したゴールドアクター(2016年12着)、フォゲッタブル(2010年6着)などは母方に米国型の血を持っていなかった。
結局父スタミナ型のサンデー系X母父米国型がベストであろう。
以上例年の京都開催における買いの血統の考察でした。今年の阪神開催で変わる点として考えられるのはズバリスタミナでしょう。京都競馬場では3コーナーから4コーナーにかけて下り坂があり直線も坂がないためスピードの持続力が重要となっていましたが、阪神競馬場は3~4コーナーはほぼフラットで、その代わり直線には坂がありますので、最後加速できない馬、もしくはスタミナがない馬にはかなり厳しいコース形態となっています。
しかしながら2周目は内回りを使用することから直線は長くなく、捲りなどは厳しいと考えられますのである程度例年の傾向も続くと考えられますので、結論としまして
父スタミナ型のサンデー系X母父米国型もしくは欧州スタミナ型
が買いの血統となります。
・注意すべき馬
ここでは、たとえ人気であっても注意したい要素、つまりこのレースでは決定的なマイナス要素を紹介します。
①2000m以下の距離を経験したことがない
先ほども述べたように長い距離のみで走ってきた馬は速いペースでの追走を経験したことがないため、比較的速めのペースになりがちなこのレースでは対応できないことが多い。長い距離をそれなりのスピードを維持しながら追走するということへの経験が足りないのである。
②母方、特に母父に米国型の血を持たない馬。
①に間接的に関わってくるのだが、スタミナ一点張りの血統では追走ペースに対応できずバテてしまう。父方からスタミナも補ってもらいつつ母方からはスピードを補ってもらう必要がある。
これらの点は今年の開催にも応用できるでしょう。
・予想
◎ディープボンド
ダービー馬キズナを父に持ち、母父にはキングヘイロー。血統表を一見しただけでは長距離を走れるようには見えないが、祖父ディープインパクトが天皇賞・春を、父キズナがフランスのニエル賞を重馬場下で勝っているようにヘイローの血が上手く活きれば長距離もこなせるのだろう。実際に重馬場の阪神大賞典を完勝しており、スタミナ面は問題ない。米国の血も多く入っており、最後の坂に負けないパワーもある。さらに週末は雨が予報されていることから、さらにこの馬に向く展開となることが予想される。先行して押し切ってほしい。
◯ディアスティマ
現在連勝中のディープインパクト産駒。フィエールマンに代表されるように天皇賞・春とディープインパクト産駒の相性は悪くなく、さらにこの馬は今回の阪神3200mをすでに経験していることが大きなアドバンテージである。母父は米国型血統であり、いかにも走るディープ産駒という感じ。体型を見ても胸が深く心肺能力が高そうで、タフな馬場も問題なさそう。連勝中のディープ産駒というだけでも十分怖いが、それ以外にも買い要素があるため対抗。
ステイゴールド産駒はこのレースと相性が良く、その子のオルフェーブルの産駒も期待できる。キレがあるタイプでは無いが、豊富なスタミナが武器であり、休み明け2戦目での上昇を期待する。
△オセアグレイト
オーソリティ同様オルフェ産駒で、前につけての粘りが強み。鞍上も横山典であり、長距離はベテランでの格言通り好走を期待する。
△カレンブーケドール
ディープ産駒の牝馬ながら有馬記念でも5着に入るなどスタミナやパワーも牡馬に引けを取らない。シルバーコレクターで勝ちきれる決め手を持っていないが、馬券内は十分ある。ただ阪神3200mに耐えられるほどのスタミナがあるかは疑問で、重い印は打てない。内枠に入ったので経済コースを通って先行できれば。
△ディバインフォース
父ワークフォースは凱旋門賞勝ち馬で、血統的にスタミナは十分。この馬も16番人気と低評価だった菊花賞で出遅れながら勝ち馬ワールドプレミアと0.3差の4着と好走した。3勝クラスを勝ったばかりなので相手強化でかなり厳しいのは承知だが、スタミナが問われる展開になれば。
△ワールドプレミア
休み明けの前走日経賞で最後伸びるも3着。一回使った上積みは大きそうで、実力的にはかなり上位。最内に入ったので道中は常に内を回って足を溜めつつ、最後の直線うまく外に出せれば勝ち負けまであるのかもしれない。ただ個人的に差し馬が届く展開にならないと考えているので抑えまで。
皆さんの予想の参考になれば。