中央競馬考察見習い

主に競馬考察

種牡馬としてのキズナ、エピファネイアを評価してみた。

2019年に初年度産駒がデビューした新種牡馬たち。その中でも光った成績を残したと言えるのがキズナエピファネイアではないでしょうか。次点のゴールドシップも条件次第ではこの二頭を上回る結果を残していますが、この記事ではキズナエピファネイアに絞って評価してみたいと思います。

同い年で、ダービーでは1着、2着と互いに切磋琢磨しあった二頭ですが、種牡馬としての戦いは始まったばかり。ともに日本を代表する種牡馬となれるのでしょうか。

 

①まず二頭の血統背景から紹介します。

 

キズナ

f:id:A-field:20200422223341p:plain

出典:netkeiba.com

父ディープに母父Storm Catとディープ系の王道血統。母父から米国型のパワーを取り込みつつ父から日本の馬場への適性とスピードを受け継ぎ、日本の主流血統と言えます。比較的若い頃から活躍でき、いわゆるクラシック路線を戦っていくのに最適な血統で、キズナ自身もダービーを制し、3歳にして凱旋門賞に挑戦するなどその血統背景をわかりやすく反映しています。

得意な馬場は軽く直線が長いコースで、東京競馬場阪神競馬場などがそれに当たります。

 

エピファネイア

f:id:A-field:20200422225044p:plain

出典:netkeiba.com

名牝シーザリオに父シンボリクリスエスを付けた、シーザリオの仔の代表馬。その牝系から見ていくと、母父がスペシャルウィークでディープ同様日本の芝適性とスピードを強化し、母母父がSadler's Wellsで心肺機能の高さ、すなわちスタミナを補っている。牝系だけで言えば中長距離までをこなし、やはり直線の長いコースを得意としそうである。実際シーザリオ桜花賞だけでなくオークスも制している。

一方父はシンボリクリスエスと、ロベルト系の名種牡馬で爆発力と相手強化でも好走する力を持つ仔が多く、大穴を開けることもままある血統。安定して強い血統ではない。タフな馬場を得意とし、中山競馬場で好走する産駒が多い。

 

 

②次に、競走馬としての成績を見てみます。全ての産駒が親と似たような成績を残すわけでは当然ないのですが、遺伝の度合いによっては早熟性や得意とする馬場が似たりするのが理由です。

 

キズナ

f:id:A-field:20200422231220p:plain

出典:netkeiba.com

特徴としては

・走り方が固まってからは後方で脚をためて直線での末脚を生かすという走り方になっている。

・マイルから2400mの中距離が得意距離。

・渋った馬場でもこなせる。

・東京、阪神が得意。

といったところでしょうか。先ほども言いましたが、血統背景を強く反映しています。

 

エピファネイア

f:id:A-field:20200422231935p:plain

出典:netkeiba.com

特徴としては

・中団でレースを進め、直線でも末脚で伸びてくるような走法。キズナほどの切れる末脚はないが、中団から前目でレースが進められるのがいいところ。

・2000mから3000mまでの中長距離を得意とする。

・不良馬場の菊花賞を取ったように渋った馬場も得意。

・クラシックは2着ー2着ー1着

 

 

③さて、ここまで二頭のことについて紹介しましたが今大事なのは種牡馬としての力。結果が全てなので、桜花賞終了時点のリーディングサイアーランキングを確認してみましょう。

  1. ディープインパクト
  2. ロードカナロア
  3. ハーツクライ
  4. オルフェーブル
  5. キングカメハメハ
  6. ゴールドアリュール
  7. ルーラーシップ
  8. ダイワメジャー
  9. ヘニーヒューズ
  10. サウスヴィグラス

となっています。錚々たるメンツが並んでいますがキズナエピファネイアの名前はありません、、、。しかしちょっと待ってください。これは総合のランキングであり、新種牡馬である二頭にとっては当然不利なランキングです。では3歳馬に限ったサイアーランキングはというと、

  1. ディープインパクト
  2. キズナ
  3. ハーツクライ
  4. エピファネイア
  5. ロードカナロア
  6. ダイワメジャー
  7. ヘニーヒューズ
  8. オルフェーブル
  9. キンシャサノキセキ
  10. ルーラーシップ

となり、二頭がかなり上位に来ています。トレンドを反映するこちらのランキングで上位に入ることは次世代の種牡馬を担っていくことにつながるため、しっかり二頭ともトップ10どころかトップ5にランキングしていて種牡馬道は好スタートと言えるでしょう。また、クラシックでの成績も気になる中でエピファネイア産駒デアリングタクトが桜花賞を制したことで、クラシックでも通用することがわかりました。

 

 

④最後にそれぞれの代表産駒からその特徴を探ります。

キズナ

代表馬:マルターズディオサ

牝系はミスプロゴーンウェストの血統。阪神JF2着、チューリップ賞1着と桜花賞の王道路線でレシステンシアと凌ぎを削ったものの、本番の桜花賞では重馬場のせいもあってか8着に敗れた。デビューしてから全てマイルを使われている。

この結果は産駒全体の成績と似ており、

 

・重馬場より良馬場が得意

・距離は1600mから2000mが得意

阪神競馬場に適性あり

・脚質は先行

 

以上のことがわかります。先行脚質が多いことを除けばいかにもディープの後継種牡馬といった感じですね。重賞4勝、OP特別7勝とコンスタントに結果を残している一方、G1勝ち馬はいません。

エピファネイア

代表馬:デアリングタクト

牝系はキンカメにサンデーの血を入れた王道血統の重ね書きのような血統で、結果SSの4x3を持つ。桜花賞を制し無敗の桜花賞馬となった。エルフィンSをレコード勝ちしたのも忘れてはならない。特徴はその驚くべき末脚で、まさに「全てを負かしていく」異次元の末脚を持っている。良馬場、重馬場どちらでも勝っている。桜花賞よりオークスの方が適性がありそうなので期待したい。

産駒全体の特徴としては、

 

・良馬場より稍重くらいの方が得意

・距離は2000m前後が得意

・坂のあるコースが得意

・脚質はバラバラ

 

であり、キズナ産駒とは相容れない結果となりました。面白いのが脚質で、デアリングタクトの他にエルセンブルグという馬のように足を溜めに溜めて力強い末脚で差す馬もいる一方でロールオブサンダーのように逃げ馬までいます。重賞1勝、OP特別4勝とキズナ産駒には劣る一方、桜花賞馬を輩出するなど爆発力がある印象です。

 

 またこれらの特徴は馬券のヒントになりそうです。

 

 

結論:初年度産駒の活躍は3歳馬のリーディングサイアーランキングから明らか。産駒はそれぞれの特徴を反映しながら、それぞれの良さを生かしている。それぞれにハイレベルな産駒がおり、現役時代の二頭のように種牡馬になっても互いに凌ぎを削って種牡馬界を賑わせてくれることは間違いないだろう。