中央競馬考察見習い

主に競馬考察

天皇賞・秋を終えて

最近更新できていなかった当ブログですが、先の天皇賞・秋を観てしまったら久々に書きたくなってしまいました。

 

今年の天皇賞・秋の見所は何と言ってもグランアレグリア・コントレイル・エフフォーリアの三強の激突でした。現3・4・5歳世代を代表するような三頭の争いを制するのがどの馬なのか、競馬ファンなら誰もが胸を高鳴らせたことでしょう。

 

この三頭は互いに対戦経験はなく、明確な力比べが済んでいなかったため順位づけが皆さん難しかったのではないでしょうか(少なくとも僕はめちゃくちゃ悩みました)。というのもこの三頭にはそれぞれ不安点があったためです。

 

1200m、1600mの2階級でG1を勝利したG15勝の名牝グランアレグリアには距離の面で不安がありました。デビューからマイル以下の距離を中心に使われており、初めての2000m戦となった今年の大阪杯では人気に推されながら4着と結果を残せませんでした。その大阪杯は雨の降る重馬場で開催されたため良馬場なら距離は持つのではないかと考える派と年々体系も名ラーに近づいており、ワンターン良馬場でも2000mは持たないのではないか派に大別したと思います。実際陣営もはっきりしたことは言えない感じでした。

また牝馬の5歳秋ということで衰えの面も懸念されていました。

 

ディープインパクトと同じくクラシック三冠を達成したコントレイルの不安はたった一点。現4歳世代のレベルの低さが顕著になってきていた点です。同世代で牝馬三冠を達成したデアリングタクトも怪我などがあったとは言え思うように結果が残せていませんでした。

 

エフフォーリア皐月賞馬でダービー2着。そのダービーも時計的にかなりハイレベルで、ほぼ1着の価値がある2着のような感じだと考えています。そのエフフォーリアの不安点は何と言っても古馬との対戦が初めてだということです。現4歳世代と同様に古馬と混じると見劣ってしまう可能性もあるためです。

 

そんな中迎えたレース当日。5Rあたりから小雨が降り始め、芝は良馬場発表ながら内を中心にやや荒れており、高速馬場とは言えない馬場状態でした。

 

15:40レーススタート

 

意外なことにスタートを決めたグランアレグリアが逃げたカイザーミノルの直後につきレースを引っ張っていく展開。エフフォーリアが6番手あたり、コントレイルがその直後にぴったりついて行きました。

その隊形を崩すことなく最終コーナーへ。

前で粘っていたグランアレグリアをエフフォーリアが楽に捉えて先頭へ。直後につけていたコントレイルがエフフォーリアが空けた道を通って追い上げるもグランアレグリアをゴール前でかわすのが精一杯で2着となり、

1着 エフフォーリア

2着 コントレイル

3着 グランアレグリア

と大方の予想通り三強での決着になりました。

しかしこのレース結果が意味するものは非常に多いと感じます。

 

まず3歳世代の強さ。

安田記念ではシュネルマイスターがダノンキングリー・グランアレグリアに続く3着、ピクシーナイトがスプリンターズSを制するなど、特にマイル以下の距離で3歳馬の活躍が目立っていました。また上にも書いたように今年のダービーの時計は非常に優秀で、そのことからも短距離に限らずこの世代が強いことが予想できますが、エフフォーリアがこの三強の中で一番オッズが低かったことから、古馬との対戦がなかったことなどからまだいまいちこの世代の強さを信じきれない人が多かったのかなという感じがします。

 

次にグランの距離適性。

レース前から懸念されていた通り、パンパンの良馬場でなければ2000mはこなせないことがはっきりしたように感じます(当然レースレベルにもよりますが)。前目でレースを運んだこともあるかもしれませんが最後の直線ではグランの代名詞である切れる脚が使えていませんでした。血統的に見ても父ディープはさておき母父がTapitだとかなり米国のパワー型が強く出るため、適正距離はマイルまでの短いところにある場合が多いです。いかにグランといえども血には逆らえなかったということでしょうか。この結果を見るとアーモンドアイの有馬記念を思い出します。

 

最後にエピファネイアの可能性です。

2着コントレイル、3着グランアレグリア見てもわかるように近年の主流種牡馬は誰に聞いてもディープインパクトと答えるでしょう。日本の芝に適合し、スピードを強化するサンデー系種牡馬が主流な日本において、ディープがその最高傑作であることは疑いようもありません。その一方でエピファネイアはロベルト系。ロベルト系といえば底力を引き出す血統として知られており、中山競馬場など急坂のある競馬場で活躍する血統です。そのような背景からエピファネイア産駒はおそらく成長力のある血統で、4歳から本格化の流れになるかなと考えています。エフフォーリアもまだまだ成長するでしょう。間違いなく今後日本を代表する怪物のうちの一頭になります。

ディープインパクトが逝き、種牡馬戦国時代に突入した競馬界で今後主流になるのは「エピファネイア」だと示したかのようなレースだったと思います。若駒から活躍でき成長力もある、直線の長い大箱向きなところなどはディープ産駒の特徴と重なるところもあり、今後の王道血統となる要素を全て満たしていると考えられます。

 

今年の天皇賞・秋、ゴール前三強の壮絶な叩き合いの裏には今後日本競馬を引っ張っていく新・王道血統の確立を見たような気がします。